フリーランスのイラストレーターとして福岡で活動する尾野さんは2016年7月から『SALT』に入りました。福岡市の中心街に近い自宅から地下鉄で20分ほどかけて『SALT』に通っています。自宅でイラストの仕事をしていた尾野さんにとって、働く環境が自然豊かな場所に変わったことでどのような影響があったのでしょうか。
—イラストレーターとしてどのようなお仕事をされていますか?
ウエディングやコンサル会社、医療機関など様々なクライアントから「イラストを用いて柔らかい印象を伝えてほしい」というような依頼でお仕事をいただいています。媒体としては紙とウェブ半々ぐらいです。
—自然豊かな環境で働いてみて、実際いかがですか?
予想外の出会いがあります。仕事が煮詰まったときに浜辺を5分〜30分ほど散歩するんですが、クラゲや見たことのない生物を見つけることもあって。カブトガニも漂流してくるそうですよ。自宅だとリフレッシュするにしても漫画を読んだりテレビを観たり、その中だけで完結してしまいます。
仕事の上でも想像する力が養われました。都会には情報が溢れているので、どうしても受け身になってしまいます。一方ここには情報が少ないので、自分の頭で考えなければいけません。イラストを描くのにイメージを膨らませる癖がつきました。
—場所を選ばずに働ける時代になりつつありますが、社会はどのように変わっていくと思いますか?
もちろん職種によってこのような働き方ができる人は限られると想いますが、ネットが発達しているのでこれからより一般的になるでしょうし。それに都会を出て地方で働く人が増えれば、地方が元気になります。やっぱり都会を離れられないのは地方に仕事がないから仕方ないという面がありますよね。『SALT』のメンバーには関東から移住してきた人も多いのですが、その中には“地域の魅力を掘り起こして発信したい”という人もいます。私は特に地域貢献を考えたことがなかったんですが、メンバーの話を聞いていて意識が変わりました。
—尾野さん自身も、個人的に地方のために何かしたいことができたのですか?
はい。私の場合はイラストを描けるので、地域の特産品や地方で活躍している方を紹介する絵本をつくりたいですね。イラストの多い絵本であれば難しい内容でも伝わりやすいですし、子供はもちろん小さな文字を読めない高齢の方も手に取りやすいので。私の場合、こういう環境に身を置くことで新しい視点が芽生えてきたのかもしれません。